Lockwood Special by Shiro Furukawa
個人的にこの作品はまさに古川ナイフの集大成と言っても良いと思っています。
古いLockwood社のスケールと古川氏の全体造形が実に美しく融合しています。
バックスプリングには古川氏らしい繊細で美しいファイルワークが入っています。
表側には太陽を表すゴールドの象嵌が施され、裏側には月を表現したプラチナの象嵌が渋く輝きます。
全体の彫刻及び象嵌は富田和一氏によるものですが、迫力というか魂を感じるような仕事です。
特にこのトップとエンドの部分はもはや「彫刻（イングレービング）」ではなく「彫像（カービング）」の範疇にすら思えます。
一般的な彫刻と異なり彫る量がすさまじいので「ひたすらひっぱたくような」大変な労力の彫り（削り？）だったそうです。
地の部分は金工で言うところの魚子（ななこ）模様に仕上げられています。
もちろんデザイン起こしから細部の内容決定に至るまで、古川氏と富田氏の綿密な打ち合わせ・調整の元に製作されています。
手に取る度に、ただただ時間を忘れて見入ってしまうナイフです。